コーヒーに塩を入れて飲むといったら、あなたは信用してくれますか。それと聞いただけで、にわかに胃の中がきつーいカフェインと塩の辛さでミックスされ、顔をしかめる方もおありでしょう。でも自称コーヒー通の方、ブラックをたしなまれる方なら、一度塩入りの味を試してみてはいかがですか。それには是非エチオピアン・モカをストレートで入れてみてください。芳香で知られるエチオピアのコーヒーに塩(少し)の取り合せは、独特の風味をそこなわない方法だそうでなかなか結構。コーヒーの発祥地といわれるエチオピアでは、本当にこうしてコーヒーの香りを大切にする楽しみ方で味わっているのです。
エチオピアのコーヒーの歴史は古く、ある時羊飼いが興奮して眠れぬ羊を見つけ、その羊が食べていた葉を試してみた事に始まると言われ、長い間この国だけで栽培されてきました。その付近一帯はカファ(KAFFA)と呼ばれる州で、コーヒーの名はこの地名に由来しています。14世紀になって初めて紅海を渡り、イエメンの港の名前をとったモカコーヒーとして、そこから広く苗木ともども、世界各地に輸出されたといわれます。
それはさておき、塩入りコーヒーを味わわれたなら、次は粉コーヒーとまいりましょう。そのおいしいエチオピアコーヒーは、荒びきでも中びきでもなく粉びきでありまして、サイフォン、メリタ、その他文明の利器は一切使わず、なべにて水とともに沸かし、カップに入れ、上ずみを飲む。自然口の中は多少、または相当粉っぽくなるのですが、無駄なく味を“噛み”しめる点で、この上なくコーヒー通と言えましょう。この行程はすべて日本の煎茶道とそっくりなコーヒーセレモニーで、お客を前にして香を炊き優雅にとりおこなわれます。
更にかみしめるには、チューインガムならぬ「チューイングコーヒー」というのがあり、コーヒーの木切れを噛んでその香りを楽しむというのですから、これは携帯便利、ひもにでも結んで首からさげれば常時愛飲(?)でき、居眠り運転の防止になるかもしれません。こんな素朴な楽しみ方もエチオピアならではのものでしょうか。
いかがです。コーヒーの香りに頭がさえて夜眠られなくなりましたか。それならブンナベットにいらっしゃい。エチオピアではコーヒーを“ブンナ”と呼び、ブンナベットまたはコーヒーハウスと呼ばれるのは実はナイトクラブ。首都アジスアベバだけでも何百軒とあり、地酒のカチカラ、タッジとよばれるハニーワイン、地ビールもおすすめです。伝統的なコーヒーセレモニーやエキゾチックで楽しいエチオピアのダンスに興じながら、夜の更けるのも忘れる事でしょう。(CF)
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